本記事は、 世界遺産のセゴビア大聖堂 について
- セゴビア大聖堂ってどんなとこ?
- セゴビア大聖堂って何がすごいの?
- セゴビア大聖堂は行くべきか迷っているんだよね
- セゴビア大聖堂の写真がみてみたい
- セゴビア大聖堂に行ってみた人の感想を聞いてみたい
というセゴビア観光またはセゴビア大聖堂観光を考えている方に向けて、40枚以上の写真・画像で解説します
- セゴビア大聖堂の主な見どころ
- セゴビア大聖堂はどんなところがすごいのか
- どんなところがゴシック建築様式なのか
- セゴビア大聖がいつごろ作られたのか
- セゴビア大聖堂内の宗教画はどういう意味なのか
宗教画やキリスト教の聖人、建築様式などに詳しくない方に向けて丁寧に解説しています
なお、セゴビア大聖堂の滞在時間を1時間に想定した記事になっています
記事を書いたのはこんな人です
- 旅行好き(国内46都道府県を制覇、残りは沖縄)
- 旅行計画好き(サイコロの旅18切符ver.も複数回実施)
- 海外一人旅好き(タイ、カンボジア、イタリア、トルコ、韓国、スペイン、フランスを一人旅で訪問済)
- 写真好き(主にCANON 6D、F4 16-40mmで撮影)
解説が長いから概要から紹介するよ(見たいところは目次で飛んでね)
Table of Contents
セゴビア大聖堂の概要(Q&A)
- セゴビア大聖堂ってどんなとこ?(一言で)
- スペインで最後のゴシック様式のローマカトリック教会
- セゴビア大聖堂って何がすごいの?
- 16世紀半ばから200年以上かかって建築され、後期ゴシックから新古典主義まで色んな様式の建築・彫刻・絵画があってすごい
- セゴビア大聖堂は行くべきか迷っているんだよね
- セゴビアに来たからには迷わず行くべきです
ただ、セゴビア大聖堂をメインにするというより、ローマ水道橋、アルカサルの3点セットです
- セゴビア大聖堂の写真を見てみたい
- ポイントを絞って写真を紹介します(クリックで拡大します)
- セゴビア大聖堂に行ってみた感想は?
- ・繊細で優雅な外観がホントに綺麗でした
・ゴシック建築、特にリブ・ヴォールトが特徴的で楽しめました
・一つ一つの礼拝所に解説がないので見どころをつかむのが難しかった(本記事で一部解説します)
- セゴビア大聖堂の観光時間はどれくらい?
- ・キリスト教美術やゴシック建築が好きなら1時間
・更にガイドツアーを利用するなら+1時間(2時間)
・あんまり興味がなければ30分
- どの時間帯がおススメ?
- 外観の写真を撮るなら午前中がおススメです(午後は逆光になるため)
これから写真と図解で詳しく紹介するよ
セゴビア大聖堂の写真と解説
セゴビア大聖堂の概要
セゴビア大聖堂(Catedral de Segovia)は スペインで最後のゴシック様式のローマカトリック教会です
セゴビア大聖堂はセゴビア中心部のマヨール広場(Plaza Mayor)に隣接しています
正式名称は「聖母被昇天と聖フルートスの聖大聖堂教会(La Santa Iglesia Catedral de Nuestra Señora de la Asunción y de San Frutos)」です(日本語訳は諸説あり)
セゴビア大聖堂の正式名称をかみ砕くと以下の通りです
- La:定冠詞
- santa :聖
- iglesia:宗教的な儀式が行われるカトリックの建物(トップは司祭)
- catedral:評議会と大司教または司教の住居(トップは大司教または司教) ※セゴビア大聖堂は司教
- de Nuestra Señora:我らの奥さん(聖母マリア) ※後ほど紹介
- de la Asunción:被昇天 ※後ほど紹介
- y:&
- de San Frutos:聖フルートス ※後ほど紹介
大聖堂の紹介は聖母マリアと聖フルートスが中心になるよ
セゴビア大聖堂の歴史
- 11世紀頃 カスティリャ王国がセゴビアを征服
- 1117年頃 地方を取り仕切る司教座(カテドラ)が置かれ、旧大聖堂(カテドラル)が建設
- 1521年 スペイン王カルロス1世の絶対主義支配に対する都市の反乱によりセゴビア旧大聖堂が破壊
- 1525年 スペイン王カルロス1世(イザベラ1世の孫)によりセゴビア大聖堂の再建開始
- 1577年 大聖堂再建
- 1768年 大聖堂奉献
- 1985年 「セゴビア旧市街と水道橋」の構成要素として世界遺産に登録
アルカサルの近くにあった旧大聖堂は、16世紀初頭の王位を巡るいざこざ(コムネロス戦争)で破壊されました
コムネロス戦争は、スペイン王カルロス1世(神聖ローマ皇帝カール5世)の絶対主義支配に対するスペイン都市の反乱でもあります
破壊から数年後、カルロス1世により大聖堂の再建が開始され50年ほどで完成します
なお、カルロス1世はセゴビアと縁の深いイザベル1世の孫にあたります
セゴビアの歴史やイザベル1世についてはアルカサルの記事でも紹介しているよ
【歴史や建築様式まで徹底紹介!】世界遺産 セゴビアのアルカサル(Alcázar de Segovia)の見どころ解説
表で書いてもサイズがわかりにくいので写真で図解してみました
なんとなくのサイズ感は伝わりますでしょうか
- 大聖堂の高さ33m:ビル11階ぐらいの高さ
- 大聖堂の幅50m:駆けっこの早い小学生が8秒位で駆け抜ける長さ
- 大聖堂の長さ105m:ウサイン・ボルトが10秒位で駆け抜ける長さ
- 塔の高さ88m:通天閣の展望台(5F展望台 87.5m)と同じぐらいの高さ
ゴシック建築の建物としては、それほど高くはないんだね
セゴビア大聖堂の見取り図
上の図はセゴビア大聖堂の見取り図(内部構成)です
セゴビア大聖堂は、半円形の部分、回廊、礼拝堂、中庭・塔などで構成されています
- 外観
- 聖フルートスの門
- 主祭壇
- 無原罪の御宿りの礼拝堂
- 祭壇
- 横たわるキリストの礼拝堂
- 聖餐の礼拝堂
- 中庭・塔
- 天井・回廊・床面etc.
- タワーのガイドツアー
- その他の礼拝堂
- 合唱団とオルガン
見どころを一つ一つ紹介していくよ
①外観
セゴビア大聖堂はゴシック様式としてスペインで最後に建てられた大聖堂です
Aラインのスカートを広げたような外観や、ピナクル(小さい尖った塔)の繊細で優雅な雰囲気等から
「大聖堂の貴婦人(英:the Lady of the Cathedrals)」とも言われています
大きさや迫力よりも細かな装飾が目立つね
- ゴシック建築(外観)
- フライング・バットレス(ゴシック建築の3大特徴の一つ)
- ピナクル(ゴシック建築に特有の小突塔)
ゴシック建築から説明していくよ
ゴシック建築は12世紀後半から花開いたフランスを発祥とする建築様式です
ゴシック建築は一般民衆に向けた建築様式で、主に修道士のために作られたロマネスク建築と背景が違います
- 一般民衆に対して権力を見せつける役割
(リヴ・ヴォールトや尖頭アーチで高さ(=権威)を強調している) - 一般民衆に対してキリスト教を紹介する役割
(文字が読めない民衆にステンドグラスや絵画・彫刻で説明) - 都市のランドマークとしての役割
(だから目立つところにあって、高い建物・塔がある)
上記のような役割を達成するために、尖頭アーチ、リブ・ヴォールト、フライング・バットレスなどの建築技法が使われて、ステンドグラスや絵画・彫刻が多数あります
ゴシック建築は一般民衆に向けた建築様式なんだね
- 1095年 第1回十字軍遠征開始(文化的に非常に発達していた東方世界と接触(12世紀ルネサンス))
- 1137年 ゴシック建築の始まり(パリ周辺にあるサン・ドニ修道院で聖堂の改築時に尖頭アーチとリブ・ヴォールトを使用したのがゴシック建築の始まりとされている)
- 12世紀半ば 初期ゴシック(双塔式ファサード、六分ヴォールト、4層構成の内部立面)※ラン大聖堂が有名
- 13世紀頃 盛期ゴシック(四分ヴォールト、3層構成の内部立面、高さ競争) ※シャルトル大聖堂が有名
- 15世紀頃 後期ゴシック(華麗・幾何学的な装飾、小規模) ※サン・マクルー聖堂が有名
- 15世紀初頭 ルネサンス建築の始まり(フィレンツェ大聖堂、サンタ・マリア・デル・フィオーレ聖堂)
- 1517年 マルティン・ルター『九十五か条の論題』出版、宗教改革の勃発
- 1525年 セゴビア大聖堂の建設開始(スペインで最後のゴシック様式のローマカトリック教会)
ゴシック建築は12世紀半ばから15世紀頃までがブームで、その後はルネサンス建築などにブームが移っていきます
セゴビア大聖堂はゴシック建築としてはかなり遅く、スペインで最後のゴシック建築の大聖堂です
「教会と言えばゴシック様式」が思い浮かぶ位のメジャーな建築様式だね
以上のように、ロマネスク様式とゴシック様式の建築様式の違いは大きいです
ロマネスク様式はどっしり、ゴシック教式はスッキリという感じです
建築様式はあくまで一例だから参考まで
フライング・バットレスはゴシック建築に特有の工夫で、主な特徴は以下の通りです
- リブ・ヴォールトから横に流れる力を支えるため屋外に設置した控壁(バットレス)
- バットレスが側廊の屋根を飛び越えるので「フライング」バットレス
- 建物内の主壁を薄くできて建物内部の空間を広くとれる
バットレスはマヨール広場からだと角度の問題で見えにくいのが難点だね
セゴビア大聖堂にはフライング・バットレスの上部等にピナクルが沢山ついています
- ゴシック建築に用いられ,またそれを特色づけている塔状装飾(小突塔)※ミラノ大聖堂が有名
- 建築の垂直性を強調する要素
もしピナクルが無かったらゴツゴツしたイメージになるね
②聖フルートスの門
セゴビア大聖堂には3つの入り口があります
- La Puerta de San Geroteo(聖ジェロテオの門) ※セゴビア教区の最初の司教
- Puerta de Santa María o Puerta del Perdón(赦しの扉または聖マリアの門)
- La Puerta de San Frutos(聖フルートスの門)
観光での入口は聖フルートスの門(La Puerta de San Frutos)です
San Frutosは「聖フルートス」「聖フルトス」など呼び名がありますが、本記事では「聖フルートス」で統一します
聖ジェロテオ、聖マリアは後で説明するよ
- 聖フルートスの像
まずは聖フルートスの紹介から始めるよ
セゴビア大聖堂の正式名称でも紹介したとおり、セゴビア大聖堂は聖フルートスの大聖堂でもあります
セゴビアにとって重要人物である聖フルートスは守護聖人として崇拝されています
セゴビア大聖堂の観光の入り口「聖フルートスの門」の2階席には聖フルートスの像があります
聖フルートスが手に持っているのは「生命の本」です
聖フルートスは毎年10月25日(祝祭日)の午前0時、12時に、ページを1枚をめくり、最期のページになると世界が終わるという伝説があります
まだページが沢山あることを祈らないとね
- 642年頃 セゴビアの貴族のもとに生まれる(兄:バレンタイン、妹:エングラティア)
- 両親の死後 両親の死後に家族の財産を売却し、貧しい人々に収入を与えた
- その後、3人とも孤独を求めて街から離れ、自然の洞窟に定住し、その中の孤独、罰と祈りの欲求を満たした
- 715年 自然要因で死亡、その後、聖フルートスの兄妹はイスラム教徒の手にかかり殉教
聖フルートスと兄妹はセゴビアの守護聖人として崇拝され、ローマ正教会総主教の聖人として認められています
8世紀前半はウマイヤ朝がイベリア半島を侵攻した時代だね
参考HP:https://www.heiligenlexikon.de/(ドイツ語)
- 奇跡1:イスラム教徒が攻めてきたときに、棒で線を引いところ地球が割れて侵攻を食い止めた
- 奇跡2:牧場主に聖母マリア用の石の輸送のために牛を借りたら暴れ牛が大人しくなった
- 奇跡3:お腹が減った動物ならパン(キリスト)も食べるとイスラム教徒に冒涜されたが、ロバが主の前に跪くことをイスラム教徒に見せた
(参考:聖体拝領:カトリック教会のミサで、聖体を受ける、つまりパンと葡萄酒を体に受け入れること) - 奇跡4:浮気を怪しんだ旦那が女房を谷底に投げ込んだが、女房は聖フルートス信仰のおかげで助かった
(その後、旦那は全財産を聖フルートスの修道院に寄付)
全財産寄付の前に、まずは女房を労わろうよ
参考HP:サン・フルット(wikipedia.org) ※イタリア語
③主祭壇
主祭壇画(Retablo_mayor_de_la_catedral_de_Segovia)
主祭壇は教会の中央から真ん中部分に設置され、司教座(カテドラ)が置かれる重要な場所です
本主祭壇は、聖母マリア、聖フルートス兄弟、聖ジェロテオ(大聖堂の最初の司教)に捧げられた祭壇です
様々な色の大理石とブロンズでつくられた新古典主義様式の作品です
なお、訪問時には主祭壇の前の門が閉まっていたので、門の格子の隙間から撮影しました
門の装飾も綺麗だね
- 主祭壇の登場人物
- 新古典主義のスタイル
主祭壇の登場人物を順に紹介するよ
主祭壇には、聖霊、キリスト、聖母マリア、聖フルートス3兄妹、聖ジェロテオが登場します
このうち、聖母マリア、聖フルートス、聖ジェロテオはセゴビア大聖堂の門の名前にも登場する重要人物です
聖ジェロテオを紹介するよ
- 聖ジェロテオ(8-71)は聖パウロの弟子で、スペインの教会史の伝説的な聖人
- セゴビアの最初の司教と殉教者(とされている)
- 17世紀頃にようやく歴史的存在が認められ始める
聖ジェロテオはキリストと同世代の聖人で、セゴビアの最初の司教と殉教者とされています
ただし、伝説的な聖人であり、17世紀までは存在が知られていませんでした
本主祭壇は18世紀に完成したので、聖ジェロテオの像がセゴビア大聖堂の完成に間に合いました
「聖ジェロテオの大聖堂」とならないのは、聖フルートス派が多かったからみたい
主祭壇は18世紀にブロンズと大理石でつくられた新古典主義の祭壇です
柱や梁(はり)は古代ギリシア神殿を元にしたコリント式オーダーでつくられています
スペイン王カルロス3世(1716-1788、在位:1759-1788)がフランシスコ・サバティーニ(1722-1795)に依頼して建設させた祭壇です
(サバティーニはイタリア出身の建築家で、18 世紀のマドリードで活躍)
主祭壇は1775年に完成しました
細かいところまで装飾されているんだね
柱にも注目してみてね
④無原罪の御宿りの礼拝堂
無原罪の御宿りの礼拝堂(Capilla de la inmaculada concepcion)です
聖母マリアをモチーフとした彫刻、絵画が所狭しと並べられています
ローマ水道橋も聖母マリアに捧げられているよ
- 無原罪の御宿り
- 聖母被昇天
- リブ・ヴォールト
まず聖母マリアについて簡単に紹介して、ポイントを絞って解説するよ
- 父ヨアキム、母アンナのもとに生まれる(9月8日、カトリック教会の祝日) ※無原罪の御宿り
- 3歳 神殿での生活が始まる(14歳まで)
- 14歳 大工ヨセフと結婚
- 年齢不明 受胎告知(3月25日)
- 年齢不明 キリスト誕生(12月24日)
- 60歳 死亡(72歳、80歳説あり)
- 死亡3日後 聖母被昇天(8月15日、カトリック教会の祝日)
- 聖母の戴冠
無原罪の御宿りの礼拝所では、マリアの生涯がほぼ時系列順に左から中央、右に掛けて並べられています
天井の紹介でも取り上げます(横向き)
この礼拝堂で更にポイントを絞って解説するよ(緑色の内容を紹介)
- なんの場面なの?
- 聖母マリアが天から降りてきて、母アンナに処女懐妊で宿る場面(無原罪の御宿り)
( アンナ、マリアの2代続けて処女懐妊)
- 登場人物は誰?
- 聖母マリア(12~13歳の姿)
テーマが受胎告知や被昇天と間違えやすいよ
- 登場人物は何しているの?
- ヨハネの黙示録に書いてある通りの姿をしている
天に大きなしるしが現れた。一人の女が身に太陽をまとい、月を足の下にし、頭には十二の星の冠をかぶっていた。
ヨハネの黙示録12・1
- 12個の星の冠:聖霊の12の実の象徴(慈善、平和、喜び、忍耐、優しさなど12の成果)
- 太陽:正義の象徴
- 月:三日月は純潔の象徴
- 蛇:原罪の象徴(踏みつけている)
- マリア:胸の前で両手を組んでいる、白衣(または赤衣)に青いマントを着ている
無原罪の御宿りの教えが装飾で分かりやすくなっているね
聖母被昇天とは、聖母マリア がその人生の終わりに、肉体と霊魂を伴って天国にあげられたという信仰、あるいはその出来事を記念する祝日(8月15日)です
- マリアのもとに大天使ミカエルが現れ、3日後の死を予告する
- マリアは使徒や聖人に見守られ、静かに死を迎える
- 聖母マリアが埋葬されて3日後、天に昇った魂が体に戻って甦る(キリストと同じ)
- 甦った聖母は、再び天使によって天に運ばれていく(被昇天)
聖母マリアは人間であり、天使によって天に運ばれるため”被”昇天と言われます(被は他から…されるの意味)
神の子であるキリストは自ら昇天するよ
- なんの場面なの?
- 聖母マリアが被昇天で天国についた後に、 三位一体(聖霊、父なる神、キリスト)によって冠を載せられる場面
- 登場人物は誰?
- 聖霊、父なる神、キリスト、聖母マリア、天使たち
- 登場人物には何をしているの?
- 聖霊:ハトの姿で祝福している
父なる神:冠を持っている
キリスト:十字架と冠を持っている
聖母マリア:手を合わせたポーズをしている
天使たち:祝福している
聖母マリアが被昇天で天国についた後の出来事です
聖母マリアが三位一体(聖霊、父なる神、キリスト)によって冠を載せられる瞬間です
推測ですが、聖霊、父なる神、キリスト、聖母マリアの配置は十字架を意識しています
(冠が十字架のつなぎ目で、キリストと父なる神が横のライン、聖霊と聖母マリアが縦のラインです)
宗教画は色んな意味が込められているから、あれこれ考えるのは楽しいね
無原罪の御宿りの天井には聖母マリアに関連するモチーフが多数描かれています
太陽や三日月、天使等のわかりやすい図柄以外には以下のようなモチーフが描かれています
- 梯子:天に上る象徴(ヤコブと天使のはしご)
- 花瓶に入ったユリ:純潔の象徴
- 井戸:受胎告知の象徴(ガブリエルから受胎告知を受けた場所)
- 大聖堂:大聖堂の象徴
- 塔:カスティーリャレオン王国の象徴
- レバノン杉:強さの象徴(堅牢な材質)
他にもモチーフを見つけられたかな
⑤セゴビアの聖人の祭壇画
セゴビアの聖人の祭壇画(Retablo de los santos segovianos)
18世紀に大理石とブロンズでつくられた新古典主義様式の祭壇です
ピンクの石灰石と群青色の大理石の柱が目を引くね
- 登場人物
セゴビアの聖人の祭壇画の名前の通り、たくさんの聖人が登場します
三位一体(聖霊、神様、キリスト)の横にいるのは聖ペテロと聖パウロです
また、青銅と銀の箱に聖フルートス3兄弟の遺物が保存されています(写真では隠れてしまっています)
聖フルートス3兄弟の遺物を挟むように聖ピリポと聖イザベルの立像があります
ちなみに、いろいろと調査しても登場人物がわからなくて大変苦労しました…
Twitterで回答いただいたSegoviaJapan様には大感謝!
⑥横たわるキリストの礼拝堂
横たわるキリストの礼拝堂(Capilla del Cristo Yacente)
キリストの受難をモチーフとした礼拝堂で上図がキリスト磔刑、下図がキリスト降架のシーンです
この礼拝堂はキリストをモチーフとしているか、他の礼拝堂と比べて豪華で目立ちます
なお、礼拝堂の名前である「横たわるキリスト」は礼拝堂の中央にいます
「横たわるキリスト」はあまりにもリアルすぎて、写真を撮影するのをためらいましたので紹介できません
たまにはそういう時もあるよね
- キリスト磔刑
- キリスト降架
- なんの場面なの?
- キリストが十字架に磔刑(はりつけの処刑)されている場面
- ナザレ出身のイエス・キリストがエルサレム神殿を頂点とするユダヤ教体制を批判
- 支配者のローマ帝国により、公開処刑の死刑である十字架に磔(はりつけ)になって処刑
- 十字架刑はローマ帝国でも反逆者のみが受けた最も重い刑罰
- キリストはゴルゴダの丘で朝9時に磔にされ、6時間後の15時に息を引き取る
忘れがちだけど、イエス・キリストはユダヤ人だし、ユダヤ教徒だったんだよ
- 登場人物は誰?
- キリスト、聖母マリア、マグダラのマリア、クロパの妻マリア
- 聖母マリア:イエスの母
- マグダラのマリア:貴族出身だが贅沢三昧で娼婦に身を落とすが、イエスと出会い悔い改める
- クロパの妻マリア:小ヤコブ(12使徒)の母
キリストの磔刑されている周りには関係者が集まり、絵画によって色んなパターンがあります
セゴビア大聖堂が聖母マリアを祀っていることから、マリア繋がりでクロパの妻としました(推測)
ざっくりどんなシーンか知っているといいね
- 登場人物は何をしているの?
- キリスト:罪状により磔刑になっている
3人のマリア:嘆き悲しんでいる
十字架磔刑の場合、十字架には罪状が掲げられました
イエス・キリストの罪状は「ユダヤ人の王、ナザレのイエス」で、頭文字を取って「INRI」というキリストを示すサインとなっています
- I:Iesus(イエス) ※末尾の-usはラテン語で男性を指す場合の格変化
- N:Nazarenus(ナザレ)※イエスが幼少期から晩年まで過ごした場所(イスラエル北部の都市)
- R:Rex(王)
- I:Iudareoum(ユダヤの)
イエス・キリストを示すサインにはIHS、JHS、IXΘYΣなんかもあるよ
- なんの場面なの?
- 裕福なユダヤ人のアリマタヤのヨセフ(キリストの隠れた弟子)を始めとして、キリストを十字架から降ろそうとした場面
- 磔刑翌日が安息日(仕事をしない日)のため、アリマタヤのヨセフはキリストが十字架で放置されることを危惧
- アリマタヤのヨセフがユダヤ総督ピラトに埋葬許可証をもらって十字架からまさに降ろそうとした場面
- 登場人物は誰?
- キリスト、アリマタヤのヨセフ、ニコデモ、12使徒ヨハネ、聖母マリア、マグダラのマリア
- 登場人物の特徴は?
- 人数が多いので下記をご覧ください
- アリマタヤのヨセフ:老人で豪華な服、キリストを降ろそうとしている(議員で資産家でイエスの隠れた弟子)
- ピラト発行の埋葬許可証:ヨセフが総督ピラトにもらった右下にある白い紙(キリスト降架のモチーフ)
- ニコデモ:老人で質素な服、キリストの手からくぎを抜く(ユダヤ人の長老でキリストの隠れた弟子)
- 12使徒ヨハネ:イエスを受け止める(キリストに最も愛された弟子であるとされる)
- 聖母マリア:青い服、気絶していたり、悲しみをたえる姿
- マグダラのマリア:キリストの足元で足を持つ(キリスト足元が定位置)
キリスト降架はだいたいこの登場人物のパターンが多いよ
⑧聖餐とアヤラ・ベルガンザの礼拝堂
聖餐の礼拝堂(Capilla del Santísimo)とアヤラ・ベルガンザ礼拝堂
アヤラ・ベルガンザは本礼拝堂を設計した人の名前です
天井に至るまで見事な装飾だね
- イエスの最後の晩餐の象徴であるパン(イエスの身体)と葡萄酒(イエスの血)をいただく儀式(聖体拝領)
- カトリック教会では、パンとワインがキリストの体と血に変化(聖体変化)し、それを信徒が分け合う(聖体拝領)ことこそがミサの中心です
地元のカトリック教徒のための礼拝堂だね
⑨中庭・塔
観光時間が足りなかったので塔には上りませんでした
セゴビアで一番高い塔からはセゴビア全体が見渡せます
ガイドツアー(1時間)もあるので時間があればおススメです
ガイドツアーの詳細は公式HPを見てね
参考:Torre – Catedral de Segovia (catedralsegovia.es)
⑩天井・回廊・床etc.
セゴビア大聖堂は白くてすらりとした柱や天井のリブ・ヴォールトで自然と目線が上に行きました
後期ゴシック様式でつくられたセゴビア大聖堂に関して詳細に紹介します
大聖堂では天井ばっかり見てたよ
- ゴシック建築(内部)
- リヴ・ヴォールト(ゴシック建築の三大特徴の一つ)
- 尖頭アーチ(ゴシック建築の三大特徴の一つ)
- ステンドグラス
セゴビア大聖堂はゴシック建築で建設されており、内部構造もわかりやすいです
(左図が教科書的な内部構造で、右図がセゴビア大聖堂の内部構造)
なお、セゴビア大聖堂にはトリフォリウム(ステンドグラスとアーケードの間)はありません
数字上のサイズよりも高く、広く感じたよ
- アーチ(リブ)によって補強した石造天井
- ヴォールトの稜線(面と面の境目)を明確にするためリブが使用されている
- 天井から壁、支柱、床面まで力の流れが見た目にもわかるようにしている
セゴビア大聖堂には色んな形をしたリブ・ヴォールトがあるから探してみてね
尖塔アーチと何度間違えたことか…
文字を読めない人向けには、とても分かりやすいね
セゴビア大聖堂の観光案内
紹介動画
セゴビア大聖堂公式HP(Catedral de Segovia)で説明動画(スペイン語)を公開しているので紹介します
映像もきれいで見どころを抑えている動画なのでおススメです
字幕があったら更に嬉しかったなー
アクセス
セゴビア大聖堂(②)は、バスステーション(Estation de autobuses)から徒歩10分程度です
アルカサル(①)からは徒歩15分程度、ローマ水道橋(③)からは徒歩5分です
セゴビアの主要な観光地は歩いてアクセスできるから便利だね
位置関係
セゴビア大聖堂はセゴビア中心部のマヨール広場(Plaza Mayor)に隣接しています
セゴビア大聖堂の入り口はマヨール広場から見えてわかりやすいので迷うことは少ないです
セゴビア大聖堂は街の中心にあるから迷うことはないね
マヨール広場(Plaza Mayor) は直訳すると大きな(Mayor)広場(Plaza)です
スペイン語のMayorはラテン語のmagnus, majorなどに由来します
- magnus(ラテン語、マグナス):大きい、偉大な
- major(ラテン語、マヨール):大きい ※サイズはmajor <magnus
- Mayor(スペイン語、マヨール):大きい ※ラテン語majorが語源
- Major(英語、メジャー):大きい ※ラテン語majorが語源
- T-REX:ティラノサウルス(恐竜) ※ラテン語rexは王の意味
- Maharajah(サンスクリット語、マハラジャ):偉大な王 ※Mahaはmag[大きい]、rajahはrex[王]に相当
- 摩訶不思議(日本語):とても不思議 ※摩訶はサンスクリット語Maha [とても、大きい]に由来
語源をたどるとラテン語に行き着くことが多いよ
営業情報
名称 | セゴビア大聖堂、セゴビアのカテドラル |
正式名称 | La Santa Iglesia Catedral de Nuestra Señora de la Asunción y de San Frutos |
営業時間(大聖堂) | 09:30-18:30(月~金) 09:30-19:30(土) 13:30-18:30(日) |
入場料(大聖堂) | 大人3€(≒400円) |
備考 | キリスト教の祝日はお休み 大聖堂ガイドツアーあり タワーのガイドツアーあり(日本語なし) |
セゴビア大聖堂の主な営業情報は上の表の通りです
キリスト教の祝日、ガイドツアーなどの詳細はセゴビア大聖堂公式HP(スペイン語)でご確認ください
キリスト教の祝日はなじみがない人が多いだろうから、ちゃんとチェックしてね
世界遺産 セゴビア大聖堂の写真、解説のまとめ
以上、セゴビア大聖堂を40枚以上の写真、画像で解説しました
セゴビア大聖堂の雰囲気はいかがだったでしょうか
セゴビア大聖堂はセゴビアの三大観光名所の一つで、セゴビアの中心と言うべき観光地です
教会好き、建築好き、写真好きなら迷わずセゴビア大聖堂に行くべきです
本記事がスペイン、マドリード、セゴビア旅行に行くときの参考になれば嬉しいです
セゴビア大聖堂の背景を知るともっと楽しめるよ
本記事が少しでも役に立ったな、と思っていただけましたら、
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